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単なる雑記帳。口調とか(人格とか)色々化けますが、
もともとその時々によって変わる奴なのでご心配なく。
どれもこれもが混じりっ気なしの泡100%であります。
つまり中身なし。
2002.6.24.Mon
ペンの類いをなくすのが得意だ。仕事中は鉛筆・マジック・ボールペンを持ち歩くが、どれも使い切った試しがない。中でも、ボールペンの遺失率は(どういうわけか)飛び抜けて高い。
なので、ボールペンは100円の安物を使っている。40円の鉛筆はなかなかなくさない(でも使い切る前に消える)から、「安物だから緊張感がない」という原因は副次的な要素にすぎない。
家には、値段にして1500円くらいの、ちょっと高いボールペンが1本ある。いつの頃か手元にあったもので、たぶん中学くらいからずっと使っていると思う。インクも何回替えたか憶えてないから、かなり長寿だ。
このボールペンは、書き味が良くてお気に入り。銀色のボディは味気なく、とってもビジネスライクなところが、またお気に入り。さらに、使いこんでいる道具ならではの老朽感が、上乗せしてお気に入り。軸受けにだいぶガタはきているけれど。
遥か昔にあった「ペンの尻を噛む癖」、その名残を存分に残している、お気に入りのボールペン。
だから持ち歩かないようにしていた。絶対なくすから。
しかし、1日だけ持ち歩いてしまった。仕事に遅れそうな時にボールペンが見つからず、仕方なく「今日だけ」と胸のポケットに差し、家を出た。帰ってきて上着を脱ぐと、すでに姿はなかった。気づくとないのだから、どこでなくしたかなんて想像もつかない。
そう、果てしない価値を持った1500円くらいのボールペンは、この日を待っていたのだ。猫は死期を察すると、主に別れを告げると言う。彼もまた、己の死期を悟ったのだろう。そしてひっそりと、誰にも知られぬところで、安住の地を求める旅へ出たのだ。
形あるものに永遠は存在しない。悲しいが、これも運命なのだ。俺は涙を飲んで、彼に別れを告げよう。今まで長い間ありがとう。笑顔で別れを告げようと思う。
新しいボールペンはやっぱり安物で、亡き彼に比べるとすべての面で劣る。150円の彼は購入の3日後に行方不明となり、2日後に奇跡的に見つかったものの、その日のうちにまた消えた。