便所に行こうとしたら、視界の隅に異物を捕捉。それがなにかを認識するよりも早く、俺の身体はアドレナリンを分泌して臨戦態勢に入る。
 きたぜきたぜきたぜー!

 かかってこいや黒色潜水艦!

 しかし奴は俺との勝負を避け、愚かにも風呂場方面へと潜行。熱湯による絨毯爆撃を受け、あえなく轟沈した。

 黒虫天国だった実家に比べ、今の家は生息数が少ないのか年に数度しか出くわさない。それはそれで大変結構なのだが、それだけに反応が遅れる。実家の頃は便所へ行くにも常にぴりぴりしていたものだが、今回は完全に油断していた。風呂場の方へ行ったからいいようなものの、奴らは初動の遅れがロスト率に直結する。毒ガスの置き場所を忘れていた以上、確実にロストしていたであろう。

 防災は日頃の訓練が肝心という好例。


 9日の台風上陸でテレビのアンテナがひん曲がったので、大家に修理を依頼。
 今日来る手はずなのだが、一向に来る気配がない。今日は彼女様が来るから迎えに行かねばならんというのに。(ちゃんと映るか確認するために立ち会いが必要)

 結局迎えには行けず、しかも雨まで降ってきた。やっと来たと思ったら「雨が降ってるので屋根に上がるのは危険」とか抜かしてなにもしないまま帰っちまった。
 お前らクビだ。

 台風が来るたびに必ずテレビが映らなくなる我がアパート。いっそ自前アンテナでも立ててやろうかと思ってしまう。
 別に俺はテレビを見ないから困らないのだけど、彼女様がテレビっ子なのだ。